私が週に2回185cmになる理由
むかしから身長がコンプレックスだった。
12歳、168cmでランドセルを背負っていた。
16歳、175cmのとき「おまえがあと10cm低かったら考えたのに」と当時好きだった人に言われた。
18歳、森ガールになりたかったが、177cmに似合う可愛い服は存在しなかった。
19歳、ガールズバー的なところで働くも、制服が小さすぎて難儀した。
(同じ177cmである石田純一・ふかわりょうあたりの女装姿をイメージすると、その難しさが分かるかもしれない)
しかし中高大と女子校で、170cm超えの女子が少なくなかったおかげか、変に気負わずに済んだ。
問題は、社会人になってからだった。
「ほとんどの男性は、女を外見で判断している」ということに気付いたのは新卒1年目の頃だった。
うすうす気付いてはいたが、男性にとって、デカい女は恋愛対象になりにくい。
その頃から、ヒールがある靴を履くことを遠慮するようになった。
長崎に転勤になると、余計に身長が目立った。
(東京は人口が多い分、マイノリティでも目立たない)
177cmという身長で3cmほどの仕事用パンプスを愛用していたので、
しばらくわたしは180cmのままだった。
しかし、ふとしたきっかけで出会った男性の些細な一言で、価値観が大きく振れた。
「なんでヒール履かないの?もったいないよ!!」
今まで「俺は身長気にしないから、ヒール履いていいよ!」という上から目線な言葉しかもらえなかった人生である。
「あんたの許可がなくてもヒール履きたいんですけど?」という心の声はいつも殺していた。
自分に自信がなかった私は、さきほどの男性の、デカいことを全肯定するその言葉に、正直、惚れてしまった。
グラグラきた。理由を聞いた。
「絶対似合うやん!なんか嫌やねん。背が高い子がぺったんこ履いてるの。ってか小さい人より絶対ヒールを活かせるからね」(メールの原文ママ)
これですよ。これ。自分のコンプレックスを肯定してくれる人間は必ずいる。
笑われることを、目立つことを、恥ずかしがっている場合ではない。
ということに改めて気付かされ、その言葉をいただいた日から「週に2回はヒールを履こう」と決意した次第。
(毎日8cmヒールはしんどいので、まずは2回から……)
というわけで、街中でデカい女を見かけても、ガン見しないでね。
長所を伸ばして生きていこう。
※ちなみに、惚れたら突撃して玉砕するタイプなのでその後即失恋した。